日々の砂丘

正直に書く

ジャイサルメールの話

 

 

 

 ジャイプールから電車で12時間。次の目的地、ジャイサルメールにたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

 宣言通り、SNSからはすべてログアウト、アカウントも消した。消すこと自体に意義は全くない。これからの自分の身の振り方に、すべてがかかっていると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 消す直前、いろいろな思いが頭を巡った。アカウントをとりあえず利用停止して、後からまた戻ってくればいいのではないか。写真とかもったいない気もする。人間の弱さだ。

    それでも全部振り切って消してみると、後に残ったのは清々しさと、身の回りに起こっていることに目を向けようという前向きな意識だった。

 

 

 

 

 

 

 

 意外にも、SNSを消すとメリットが多いことに気付く。まず最初に気付いたこと、それは携帯のバッテリーが減らないことだ(そこか)。本当に長持ちする。自分のiPhoneも実はまだ頑張れたんだなぁ、という。

 

 

 

 

 

 

 

 音楽が純粋に聴ける。よく考えると、今まで「音楽を聴くためだけの時間」ってあんまり作ってこなかった。SNSをやめてしまうと、最初本当に手持無沙汰だ。煙草を止めた瞬間みたいな感じ?そこで改めて普段聞く楽曲に耳を傾けると、「こんな音鳴ってたんだ!」という発見が数多くあり、電車の中での移動が楽しい(ちなみに、Ipod Touchが壊れかけていて恐ろしい)

 

 

 

 

 

 

 

 あと、何かをしようというやる気がみなぎってくる。いかに今まで自分が、気付かぬうちにSNSに体力を奪われていたのかよく分かった。

 

 

 

 

 

 

 イライラしなくなった。これは瞑想したからなのかSNSを止めたからなのかは定かではないけど、インド人の客引きに笑顔で接すことができるようになった。そして分かったけど、あいつらも根は悪いやつではない。世界3大うざい国の名をつけた旅行者に、心の余裕がないだけだと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 とまぁSNSから脱出し、このようなコンディションでジャイサルメールにやってきた。電車は4時間遅れて夜中の3時に着くちょっとしんどい展開だったけど、今なら全然受け入れられた。むしろ頭の整理に時間をくれてありがとうぐらいの感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 さてこのジャイサルメールは、インドの西の果て、パキスタンとの国境沿いに位置する田舎町だ。とはいえ昔は、王国として大変栄えていたらしい。今でこそ飛行機がビュンビュン飛ぶ世界だが、昔はそんなものは当然存在しなかった。人々は船で、もっと前は陸路で、国を横断し、交易していた。だからこそ、インドの西の果てに位置するこのジャイサルメールは、東西貿易の中継地点としてその名をはせ、繁栄の時を経験したのであった。

 

 

 

 時代の変わり目はパキスタンの独立。これまでは隣国として貿易していたが、突如国境が成立し、関係の悪化により貿易は止まった。遥か西、エジプトでスエズ運河が開通したこともあり、ジャイサルメールは時代の流れに取り残され、今ではただの片田舎の町になってしまった、という流れがあるらしい。

 

 

 

 

 とはいえ、その当時の繁栄の面影は今でも見て取れる。美しく均整のとれた街、壁に施された緻密な装飾、そしてなにより、街の真ん中にそびえる砦と、頂上から町全体を見下ろす城。ゴールデンシティの名に違わない美しい町には、真夜中(朝?)にもかかわらず、ついて早々魅了された。

 

 

 

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 翌朝。太陽の下にその全貌を現したジャイサルメールの街を歩く。走り抜けるバイクとトゥクトゥクが騒々しいのはどこも同じか。

 

 

 

 

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 砂と煉瓦、岩。一面に広がる茶色の町。しかしその茶色は、降り注ぐ太陽により、確かに金色に輝いているように見える。歩いていると、どうしてもエジプトを思い出さずにはいられない。砂に覆われた建物、ほこりっぽい空気。全部がエジプトの記憶を思い起こさせる。来て早々、ジャイサルメールに親近感を抱く。

 

 

 

 

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 辺境の地であるからか、ラジャスターンの土地柄か、お土産やハンドメイドクラフトにも、民族風のものが多い。これらが民家やお店の壁に掛けられているのを見ると、なんとも華やかで気分も良くなる。思わず入ったお店で、ラクダの髭でできたとかいうスカーフを買ってしまった。スカーフはもう袋の奥底なので写真はないけど、割と気に入ったデザインだった。

 

 

 

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 その時は冷静になれず勢いで購入したが、あとで周りの店を巡って値段を訊くに、だいぶ取られた(ぼったくられた)気がする。いかんいかん。お土産でも航空券でも、購入後は値段をチェックするのはご法度である。さほど落ち込みはしなかったけど、敗北感は認める。

 

 

 

 

 

 

 

 「気に入ったものを、その時納得した値段で」。エジプトでもインドでも同じ、楽しく旅をするときの普遍の心がけである。自分が働いていたころ、お客さんには偉そうに説法していたくせに、実は自分に全然染み込んでいなかったことに気付く。何事も、口だけではだめだ。どの口がものをいうかに、すべてがかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく城内を歩いて、砦の端から街を見下ろす。この街には、砦の中も含め、今でも8万人の生活がある。8万人。淡い記憶をたどるに、出身の大分県中津市とほぼ同じ人口だったんじゃなかろうか(未調べ)。そう考えると、この景色を形作る一つ一つの家に、それぞれの人々の生活が宿っていることに気付く。この景色の隅々に、人々の人生がある。そう思いながら見渡すジャイサルメールの街は本当に美しく、横にいたスペイン人とだらだら喋りながら30分ぐらいこの展望台に滞在してしまった。

 

 

 

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↑これがジャイサルメール

 

 

 

 

 

 

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↑これがカイロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰り道、沈む夕日を眺める。今日は一度もリキシャに乗らなかったが、自分の足で歩いてみてよかったと思った。おかげでその辺の牛と何回も目が合って面白かったし、世の中効率だけが全てではない。

 

 

 

 

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 今日から、砂漠のツアーに参加する。砂漠は人生で3回目。前は「エジプトのとインドのと、どっちがいいか比べよう」と思っていたが、今は純粋に、このジャイサルメールの砂漠に行けることが楽しみでならない。天気は最高、雲一つない晴天だ。歴史の教科書に踊る「ラクダ商隊」の文字がふと頭に浮かぶ。色々なことに、思いを馳せてこようと思う。

 

    インド、残り9日。どうやらガンジス川の水は、ナイル川の水と相性が良さそうだ。