日々の砂丘

正直に書く

芸人の発想力

 

 

  家の仕事をずっとさせられていると、軽く精神的に滅入ってくるので、暇な時間にお笑いを見る。コント、漫才を見るのも好きだが、やっぱり一番好きなのは大喜利。小学生のころから笑点大喜利を見ては、意味も分からないのに雰囲気でゲラゲラ笑っていたのだが、今になってこれをたまに見返すと面白い。そこからIPPONグランプリに飛んで、芸人のセンスに圧倒されながら、ふと疑問に思った。

 

 

 

 

 

 

  「こいつらは、どうしてこんなに面白い発想、回答ができるのだろう」

 

 

 

 

  気になって大喜利をじっと観察していると、面白さの種類は一種類ではないことに気付く。今日観察していてパッと思いついた面白さの要素としては

 

 

 

 

  ・常識、道理、一般の斜め上や真逆を行く発想

  ・逆に常識を極めた発想

  ・期待通りに回収されることによる安心感を狙った発想

  ・一回ウケたネタをあえて繰り返す発想

  ・話者のキャラに対するギャップ、裏切り、あるいは期待通りの振る舞い

  ・話し方、表情、フリップを出すタイミンなどの間、会場の空気

 

 

 

 

 

  上記のいずれか(もしくは複数)を満たし、かつ見る者の理解や共感が得られた際に、笑いが起こるようだった。(この共感・理解を得られないとき、いわゆる「スベる」という現象が起こる)(笑いのツボ、というのは個人が持つ理解や共感の範囲である、というのも思った。だから同じネタで笑える人間と笑えない人間がでてくる。売れている芸人というのは、自分たちの発想に対しより多くの人間から理解・共感を得ているのかもしれない)

 

 

 

 

 

  さて、5分で考えた以上のちゃちな考察を正しいと仮定した場合、「芸人は、なんでこんなに面白い発想、回答ができるのだろう」という問いに対する答えは、

 

 

  「予め常識・道理などの価値観を予想し、それを様々な角度(斜め上、真逆、連想など)で裏切り、なおかつ共感を得る発想を訓練している。また、それらをアウトプットする技術に長けているから」

 

 

  ということになる。

 

 

 

 

 

  今日一番声を出して笑ったのは、「透明人間になる薬をついに開発した。しかし、使いたくなくなる副作用がある。それは何か」というお題に対し、ホリケンが「飲むと額にテントウムシがたくさん寄ってくる」と回答したアレだ。

 

 

 

 

 

 

  にこにこ誘い笑いをしながら回答するホリケンを見るとめちゃくちゃ面白い。要はこの回答が僕の共感を得た、ということになるのだろう。そりゃ使いたくないよ。透明になったところで額にテントウムシが寄ってきたら意味ねーじゃん。てか「テントウムシ」とか「額に寄ってくる」とかどっから出てきたんだ(笑) でも、「怪しげな薬を飲んだら何かが大量に寄ってくる」という発想自体は共感できなくもない。寄ってきそうな気もする。「手が届きそうなようで届かない発想」と、「絶妙な距離感で起こる共感」これが面白さなんだろう。

 

 

 

 

 

 

  逆に、ホリケンがどうやってこのネタをひねり出してみたかを、仮説に当てはめて推測してみる。まず、「副作用」について裏切りの発想を出す必要がある。一般には「体調が悪くなる」「吐き気がする」「眠くなる」などのイメージがある「副作用」という言葉に対し、なにかそれを裏切るものが欲しい。ここから「(逆に)寝れなくなる」程度の発想なら一般人にもできるが、彼はすごい。すぐに着眼点をずらすのだ。

  ここからはもう無理やりだが、おそらくホリケンは、「薬」というところから連想し、「虫」を引っ張り出したのだろう。まるで、はちみつを塗った木にカブトムシが集まってくるように、この薬を飲むと何かが集まってくるというのはどうだ。その発想はギリギリ理解できるラインでありながら、一般人の手が届かないところにある。虫には具体性を持たせる。虫は集まると何となく不快だけど、「蜘蛛が集まる」よりはテントウムシの方が不快感も少なそうで、悲鳴よりウケに繋がりそうだ。集まる場所は額が絵として面白い。ビジュアライズしやすい。透明なのに虫が集まってきているという皮肉も効く。こうして「副作用」というお題から「テントウムシが額に集まってくる」というボケが完成する。

 

 

 

 

  いやいや、ここまでを論理的に考えているとは到底思えない。IPPONグランプリにおいては瞬発力が大事で、それこそバカリズムなんかは、このクオリティのネタを1分で3つ突っ込んできたりする。長年の芸人生活の中で「周囲の期待を様々な角度で裏切りながら、なおかつぎりぎり共感が得られるライン」を模索し続けた結果至った境地なのだろうか。

 

 

 

  

  まぁしかし、物は試しだ。せっかく方法論について考えたのだから、実践してみようということになった。どこかに素材がないか探しながら家を掃除していると、おとといの新聞の一面にこんな記事があった。「入管法案 衆院通過」。外国人労働者を日本に受け入れることを加速させる法案が、議論が未熟なうちに衆議院を通過したようだ。付随の写真が下。(毎日新聞 2018年11月28日付 1面)

 

 

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  優秀な素材を見つけた。この画像で大喜利をぶちかましてみよう。我ながら何をしているのだという感じだが、せっかくなので自分の方法論を試してみる。わざわざここまで読んでくれた人もやってみてね。

 

 

 

 

 

  まず、「一般常識・道理」を理解する。これは法案審議が混乱し、紛糾している様子である。これを、様々な方向から裏切らなければいけない。うーん、言ってはみたものの、難しい。アイデアはとにかくどんどん出していってなんぼなので、まず「年末バーゲン開催中」というのを出した。裏切り度が甘い。「混乱・紛糾」から理解こそ得られど、この程度の発想なら想定の範囲内なので、結果として笑えない。

 

 

 

 

 

 

 その後5分間考えて、出てきたのが以下。

 

 

 

 

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・「僕はキラじゃない、信じてくれよ!!!」

 

 

 

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・「なんで違う法案持ってきてん」

 

 

 

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・「こいつ、パンツ一枚で議事堂に来やがった!!!」

 

 

 

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・「ゴジラ東京湾に迫っています!!!」

 

 

 

 

  うーん

 

 

 

 

  なにやってんだ俺

 

 

 

 

 

  とりあえず、芸人の凄さが分かった良い1日だったような気がする。この文のオチを考える元気はもう残っていない。大喜利の答え思いついた人、ぜひ教えてください。